衣食住を基本とする暮らしを豊かにするための大切な要素のファッション。昨今のSustainable (サステイナブル)の波はしっかりファッションへも波及しています。前回の記事では「モノを長く使う」という日本人ならではのサステイナブルな視点で、新生「BOTTEGA VENETA」の魅力や、若手実力派ブランドの「Peter Do」等に焦点を当てました。
【ファッション】新たなサステイナブルな形。トレンドに左右されない良いモノを持つこと 〜海外ラグジュアリーブランド編〜
着回しをすることで、クローゼットを循環させ、ファッションをサステイナブルに楽しむ方法をご紹介させていただきました。あなただけの一生もののアイテムを見つけることはできましたか？
前回は海外ブランドだけでしたが、もちろん海外ブランドだけがサステイナブルな取り組みをしているわけではありません。
海外ブランド編に続き、今回は国内ブランドに焦点を当てて、ユニークな方法でサステイナブルなファッションを模索しているブランドを2つご紹介させていただきます。
ANREALAGE(アンリアレイジ)
2003年、デザイナーの森永邦彦氏が設立したブランド、ANREALAGE。ブランド名は「A REAL」、「UN REAL」、「AGE」の3つの英単語を組み合わせてできており、日常、非日常、時代、をキーワードとしたコレクションを毎シーズン発表しています。2015年春夏コレクションより、Paris Fashion WeekのWomen’sのスケジュールで新コレクションを発表。2019年にはLouis VuittonやシャンパンのMoetを有するLVMHグループが主宰するファッションのコンペ「LVMH Prize」のファイナリストにもなり、2020AW CollectionではFENDIとのコラボも実施するなど、日本実力派ブランドの1つです。
そんな「LVMH Prize」の最終審査でANREALAGEが提案した新しいサステイナブルな洋服があるのを、ご存知でしょうか？
それがこちらの真ん中のドレス。チェック柄に見えるこのドレスですが、実は土に埋めることで、バクテリアによる生分解が行われ、一部の素材が土に還ることでチェック柄となっているんです！
これ、とうもろこしのデンプンを繊維にすることで可能になっているそう。縦糸と横糸にうまくとうもろこし由来の繊維を組み合わせ、土に埋めることにより生分解が進むことでチェック柄が浮き上がるというアート作品です。
近年量産で作られる洋服、とくにファストファッションの洋服には多くの化学繊維が使われており、環境汚染への深刻な影響が懸念されていることを受けて、「土に還る服」を作ることで、その環境負担を軽減することができないか、という取り組みの元生まれた新しい素材。洋服はどうしても消耗品なので、自分がきた服を処分した際には当たり前のように環境負荷がほとんどない、そのような世の中になるといいですね。
MIKAGE SHIN
MIKAGE SHINは2019年にデザイナーの進美影がNYで立ち上げたブランド。2021年春夏 コレクションから日本に拠点を移しています。早稲田大学卒業後、電通へ入社。電通退社後に、NYのファッション名門大学パーソンズへ入学、在学中にブランド設立、とデザイナー本人の経歴が少し変わっています。その少し変わった経歴が、デザインにもふんだんに落とし込まれているのが特徴です。
デビューコレクションから、サステイナブルなファッションのあるべき姿を問い続けており、こちらのTシャツにはなんと、本物の木が使われております。
実は最近流行のエコレザー(昔はフェイクレザーなんて言われていましたね。)は結局のところ大量の化学繊維でできており、「それって全然エコじゃないじゃん！」とファッション業界で指摘され始めているのです。そこに着目したMIKAGE SHIN。木をレザーの代わりに、サステイナブルな試みです。
まとめ
日本のファッションブランドに焦点をあて、ユニークな視点でサステイナブルな取り組みを実施しているブランドANREALAGE、MIKAGE SHINをご紹介させていただきました。
土に還ることで柄が完成する服、そして木をレザーの代わりにする服。どちらのブランドも、「そんなやり方があったんだ」と気づきを与えてくれます。当たり前だと思っていた概念を破壊し、新しい価値を作ること。それによって、私たち消費者が「は！」と気づく何かを与える力がありますね。ファッションとサステイナブル、もっともっといろんな形で広がって欲しいと願うばかりです。
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