シミやシワを隠すための厚塗りメイクは、老けて見えたり、化粧崩れによるお疲れ顔に見える原因になりがち。そこで最近ミニマリストに注目を集めているのが、厚塗りしない“引き算”のメイク術です。今回は、イメージコンサルタントの田中貴子先生に、素肌を活かしたシンプルかつ、洗練されたメイク術について教えていただきました。
Profile:
田中 貴子(TAKAKO TANAKA) イメージコンサルタント/株式会社ヴィーナスオーラ 代表取締役社長
2010年、イメージコンサルタントとして活動を開始。一人一人のなりたいイメージに寄り添い、その魅力を最大限に引き出すコンサルティングは、毎月15分で予約が完売するほど人気に。2017年、一般社団法人ビューティーライフデザイン協会を設立。現在は、イメージコンサルティングサロン『Venus Aura』を主宰し、イメージコンサルタント養成コースを開講。内面と外見を同時に変化させることで、人生をアップデートし、欲張りな人生を謳歌する女性の育成を目指す。
POINT.1 楽してきれいが手に入る!「素肌を活かすメイク」とは
お化粧は厚塗りするほど、お昼に化粧直しが必要だったり、夕方には崩れてしまったりします。でも、化粧直しは面倒ですし、化粧が崩れた顔は疲れたり、老けた印象に見られがち…。そこで私がおすすめしているのが、なるべく薄づきの、「素肌を活かすメイク」です。これなら、朝のメイクも短時間で済みますし、化粧直しをしなくても、夕方まできれいに持たせることができます。皮脂が出ても、メイクが薄いのでうまく混ざってツヤ感になって、汚くよれた印象にはなりにくいんです。
「素肌を活かすメイク」には、もう1つメリットがあります。それは、若々しく見せられるということ。厚塗りしてきれいに見せるメイクは、あくまで「作られた美しさ」。ですからどうしても、人に老けた印象を与えてしまいます。若い方=肌がきれいというイメージが強いので、そこからかけ離れてしまうのです。若々しくいるためには、まずは素肌の美しさを引き出すスキンケアがとても大切です。そのうえで、ファンデーションを含めて全て薄づきにして、透明感を重視していく。あくまで、「作り込まれていない美しさ」を目指すことが、非常に重要です。
また薄づきにすることは、肌にあまり負担をかけないという意味でも大切です。毎日厚塗りしていると肌が荒れやすくなり、いくらメイクをしても、人の視線はそちらにいってしまいます。ですからまずは、メイクが映える素肌を整えることが、一番先決です。
POINT.2 自分に合ったファンデーションの選び方
では早速、「素肌を活かすメイク」の方法についてご説明していきましょう。
今回は<ベースメイク編>ですので、まずは基本のファンデーションの選び方からご説明いたします。
肌には基本的に、ブルーベース、イエローベースの2種類があります。イエローベースの人は、黄みがかっている色のファンデーションを乗せたほうが、顔色が良く健康的に見える人。ブルーベースが、ピンクがかっている色のほうが、顔色が良く見える人です。イエローベースの方がピンク系のファンデーションを塗ると、白っぽく具合が悪そうに見えてしまいますし、その逆も違和感が出てしまいますので、ぜひ選ぶ際は気に留めておいてください。コスメカウンターでの肌診断や、専門家の診断を受けられるところもありますので、機会があればぜひチェックしてみてくださいね。
もう1点、ファンデーションを選ぶ際に気をつけるべきことがあります。それは、基本的には肌色に一番近い色を選ぶということです。そうしておけば、メイクをしていない首との境目が目立つこともありません。ただ、褐色の肌の方に関しては、褐色を塗って夕方になるとくすみが出やすいので、やや明るい色がおすすめです。それ以外の方は基本的に、自分の肌色にジャストな色を選ぶのがいいでしょう。
さらに、これは色の話ではありませんが、毎日つけるものだからこそ、ファンデーションは肌に負担が少ない、なるべく余分な成分が入っていないものを選びましょう。
POINT.3 “厚塗り”にならないファンデーションの塗り方
次に、ファンデーションの塗り方についてご説明します。日焼け止め成分が配合されたファンデーションを、全顔薄塗りにします。さらに、肌をきれいに見せるためには、目の下から鼻の横筋にかけて、ちょうど目のクマができやすい三角地帯を気持ち厚塗りにするのがポイントです。おすすめの塗り方は、最初に三角地帯にファンデーションを置き、あとはしっかり伸ばしていくスタイル。三角地帯が一番濃く、顔の端に行くほど薄くなっていくイメージです。
塗る際は、私は指を使いますが、スポンジやブラシでも大丈夫です。ただ、指だと自分の肌の状態を確かめやすく、清潔なのでおすすめです。スポンジやブラシは毎回使用後に洗えば清潔ですが、そのまま使うと肌トラブルの原因になってしまうこともありますので注意してください。
ちなみに化粧下地は、毎日の肌の状態に合わせて使ってください。必ずしも必要、ということではありません。春から夏、紫外線の多い季節なら、日焼け止め兼下地としてSPFの数値が高いものを塗ってもいいですし、ファンデーションにSPFの機能が備わっているものを使用しているなら、SPFは必要ない場合もあります。季節によってもケースバイケースで、例えば春は花粉の影響もあり肌がざらつきやすくなりますので、ファンデーションの伸びが悪くなることも。そういった時は伸びがよく、ファンデーションの仕上がりがスムーズになる下地を選びましょう。また、皮脂が多く出やすい暑い日は、秋冬用のクリーミーなタイプは避けるのがベターです。
このように、肌や気候によってもおすすめが変わるので、ぜひ肌の状態を確かめながら使ってください。色は厚塗りに見えないよう、無色のものがおすすめです。
POINT.4 大げさに見えないシェーディングの入れ方
ファンデーションの後はシェーディングです。シェーディングの際に気を付けていただきたいのは、「黄金比率」です。「黄金比率」とは、分かりやすく言えば卵型の顔のこと。縦横のバランスを整え卵型に近づけていくことで、好感度の高い愛され顔を作っていきます。
ですからシェーディングを入れる場所も、顔の形によって変わります。丸顔の方でしたら、上下には入れずに顔の左右に入れる必要がありますし、面長さんであれば、おでこの生え際やあごに入れていきます。えらが張っている人なら、えらの辺りにしっかりと…。ぜひ卵型をゴールに、自分はどこに入れるべきか、鏡を見ながら考えてみてください。
また、顔の形に関わらず共通しているのは、顎と首の境目のラインに入れることです。このラインに入れると顔がすっきり見え、横顔がきれいに見えるのでおすすめです。
シェーディングのカラーについては、肌よりちょっと暗いものを選びましょう。あまり暗すぎると入り過ぎて舞台俳優みたいになってしまうので、ほんのりナチュラルに色が入るくらいのものがいいと思います。
さて、シェーディングが終わったら、ノーズシャドウを入れましょう。こちらは眉下から目頭まで、鼻の骨に沿って入れて、指でぼかしてなじませてください。色は、薄いベージュのものがおすすめです。よくアイブロウパレットで、中に一番薄いベージュのような色のパウダーが入っていますよね。それがノーズシャドウ用なので、ぜひ使ってみてください。
POINT.5 ハイライト&パウダーで立体感ある仕上げに
シェーディング後はポイントメイクを行ないます。「素肌を活かすメイク」のポイントメイクのコツについては、また別の機会にご紹介しますね。ここでは、ポイントメイク後のハイライトの入れ方についてご説明します。
まずハイライトの選び方ですが、ラメが入っていない、マットなものがおすすめです。色は、若干ピンクがかった白が日本人の肌色によく合います。
ハイライトの入れ方としては、まずはファンデーションの時にしっかり塗るとお伝えしていた三角ゾーンに。目頭から目尻にかけて上から下に、放射状にぼかしながら入れていくイメージです。ぼかすことで、程よいグラデーションになって自然な仕上がりになります。あとはお好みで、Tゾーンやあご先に入れても、立体感が出るのでいいですよ。
また、これはハイライトだけでなくシェーディングもですが、塗る時はぜひ明るい部屋で。暗い部屋だと入れ過ぎてしまい大げさになってしまいますので、どちらもほんのり入るくらいを目指しましょう。
最後に、仕上げのパウダーですが、こちらも肌の状態に合わせて塗ってください。もちろん、塗らなくても大丈夫です。もし塗るのであれば、しっとりとして潤いが持続するミネラルパウダーが、特に秋冬はおすすめです。春夏の汗をかくような時期は、ミネラルではない一般的なパウダーのほうが、皮脂を吸収してくれるのでおすすめです。
そして塗る際は、ブラシでふわっと。パフで入れる方も多いのですが、そうすると厚塗りになりがちなので、無色のものを、ごくさりげなく入れてあげるのがいいですよ。
まとめ
「素肌を活かすメイク」いかがでしたか?薄づきメイクで肌がきれいに見えると、さらにスキンケアをして肌を磨きたい気持ちが高まりそうです。ちなみに、田中先生が目指す理想は、「ノーファンデーション」。「それが一肌に負担が少ないですし、化粧崩れの心配もありません。何より楽ですよね。ファンデーションをつけないで『え!本当に塗ってないの?』と驚かれるような肌を目指して、スキンケアを頑張りましょう!」と最後にエールを送ってくださいました。
田中先生にはこれからも、メイクやファッションについてレクチャーいただきますので、どうぞご期待ください。
“引き算”のメイクのように、スキンケアも余計な工程は減らして、上質なものだけを残していきましょう!“
構成/笹間 聖子
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