ヒト幹細胞って、普通の細胞と何が違うの??

いわゆる普通の細胞と言われるものは、肌の表面のように一定の役割を与えられている細胞のことで、「体細胞」とよばれます。これらの体細胞は役目を終えると死んでいき、また新しく補充された体細胞に入れ替わっていきます。この時、この新しい細胞はどこから供給されるのかというと、その供給元となるのが幹細胞なのです。

幹細胞には3つのタイプがある

簡単にいうと、幹細胞は、普通の細胞よりも人が生命活動を維持したり、若さを保つうえで、とても重要な役割を担っているものです。
幹細胞には「ES細胞」「IPS細胞」「体性幹細胞」の3つのタイプがあり、このうち、死んだ細胞を補ったり、ケガをした組織を治癒させようと活動する幹細胞は「体性幹細胞」とよばれ、皮膚の奥(基底層)や骨髄、神経組織など身体のさまざまなところに存在しています。普通の細胞は役割を決定づけられているため、例えば肌の細胞は肌以外にはなることができません。肌の細胞から目が作られたりすることはないのです。

普通の細胞にはない「多分化能」

しかし、幹細胞は具体的な組織になるようにと運命を決定づけられる手前の状態を保っているため、同じ系統の組織であれば、さまざまな姿に自身を変えて分裂していくことができるのです。これを「多分化能」とよび、普通の細胞と決定的に違う点でもあります。
幹細胞のすごいところは、これだけではありません。

「自己複製能」により細胞をコピーし続けられる

普通の細胞には寿命があり、分裂をすれば「細胞の人生」が1歩先に進みます。これは片道切符の旅であり、後戻りすることはできません。
ところが、幹細胞は自分とまったく同じ状態のコピーを何回でも作りだすことができ、1つの幹細胞が2つに分かれたとき、ひとつは「保管用」、もうひとつが「供給用」として使われます。この能力は「自己複製能」とよばれ、これも普通の細胞にはできない、幹細胞にのみ備わった働きなのです。これらの働きによって、幹細胞は「細胞の人生」を先に進めることなく、同じ地点で常にスタンバイを続けることができるのです。
幹細胞は、普通の細胞にはできない働きを有し、生命維持活動に欠かせない、それほど身体の中で大切なものなのです。

「ヒト幹細胞って、普通の細胞と何が違うの??」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: ヒト幹細胞とヒト幹細胞培養液って、どう違うの? - Doctors Lab Japan|公式サイト

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